脱サラして、友人と二人で花屋を開業、8年8か月続けましたが、すでに廃業しています。
「小さな町の花屋さん」という店でしたので、ご近所の奥さんたちが主な顧客。
年賀状も店にとって大切な年末の仕事でした。
けれど、最初の年はなかなか年賀状まで手が回りませんでした。

というのも、花屋にとって12月は一番の書き入れ時。
もちろんイベントとしては5月の「母の日」が売り上げも仕事量もピークですが、これは短期集中です。
それに比べ、12月は一か月ずっといそがしさが続きます。
11月も後半になると、町中、すでにクリスマスモードになっており、花屋も例外ではありません。
ギフトも増え、自宅用、パーティ用と、需要はさまざまです。
そして、クリスマスが終わるや否や、正月モードに一変します。
実は正月用の花が「母の日」と並ぶ売り上げのピークとなるのです。

1年目は、とにかくその日その日の仕事に追いまくられるばかりで、「そろそろ年賀状の用意もしないと」と思いながらも、なかなか手が回りません。
といって、店にとって顧客へ年賀状を送るのは、欠かせない礼儀とわかっていますので、なんとかぎりぎり間に合わせました。
手書きにしている時間はなかったので、すべてパソコンで作りました。
それも、店が終わったあと、深夜の作業となってしまいました。

2年目は、前年の反省がありますので、計画的に準備しました。
店を始めて、月日を重ねるほどに、お客様がいかに大切でありがたいものか、とくに「お得意さん」は本当に宝物のように感じられてくるものです。
その感謝の気持ちを伝えるのに、印刷にすべて頼るのはいけない、宛名書きは手書きで、また、おひとりおひおとりに、何か一言メッセージを書き添えたい、と考えました。

共同経営ですので、作業分担をしました。
デザインを考え、印刷をする係と、手書きで宛名書きとメッセージを書く係です。
私が手書きを受け持ちました。
二人とも字がうまくありませんが、私のほうが少しはマシ、という理由からです。

1年目とはまるでグレードの違う、なかなか凝ったデザインが出来上がりました。
私も手を抜かず、一枚一枚、ていねいに書いていきました。
計画的に始めたのが功を奏して、予定よりもはやく完成しました。
気持にも余裕ができて、そうすると、仕事のほうもスムーズになるから不思議なものです。
1年目より年賀状の枚数も格段に増え、花の仕入れ量も仕事量も増えているのに、かえって余裕が生まれてくるのです。

年明け、多くのお得意さんから年賀状のお礼を言っていただきました。
これも前年にはほとんどなかったことで、やはりこちらの気持ちというものは自然と伝わるものだなあと、あらためて思いました。
逆に、少しでも手を抜いたり、いいかげんにしたり、感謝を忘れてしまえば、それもまた自然と伝わってしまうにちがいない、とも感じました。

店の廃業を決めた最後の年、店は11月に閉めたのですが、二人で話し合い、最後の年賀状を、お礼状として出そうということになりました。
万感の思いを込めた、最後の年賀状となりました。

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